平山栄一記録簿  想哲理越憂愁     

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④この突きだけは分かりたい

私の友人。もうバケモノという位に強い。知り合った時期はいつ頃だっただろう? う~ん。13,4年前? いやもっと前か。う~む。記憶っていい加減なものだな。もうちょっとう~ん・・・あ! もう17,8年前くらいになるじゃないか。そりゃそうだ。来年、お互いに古稀になってしまうんだから。う~む。人間って不思議なものだ。勝手に年ばっかり経ってしまうぞ。こりゃかなわん。

 

その友人と久しぶりに電話で話をした。いつも、いきなり電話して、訳の分からない話で楽しんでいる。二人とも夢中になるのは、武術の話。その中での術理というか技の理合というか、細かいアレコレの話をしたりすると盛り上がる。

 

最初に出会ったとき、彼は既に、とんでもない技を持っていた。かるーくポンと突く、というより、ポンと当てるだけなのに、腹の中がえぐられるような爆発するような響きでコタえてしまうというものだ。他の稽古生も代わる代わる受けていたが、全員同じ状況。私は一回だけ受けたが、めちゃくちゃえげつない突きに、思わず言ったものだ。

 

「もう絶対、ぜーーったい、これ受けへんで。二度と受けんで!」

 

そう宣言した。

 

「あ、ゴメン。」

 

そう彼は言ったっきり・・・ 私は本当にもう二度とこの技の受けをやってない。あの突きだけはゴメンだ。だが、この技の理合が本当に全く分からない。横で見ていても、普通に立って、何にも力まず、スローモーションでポンと前に拳を出して相手のお腹に当てる・・・というより「置く」だけみたいな突き。それがもう、腹の中で爆発するような威力になる。皆、えずいてうずくまってしまう。

 

その時の彼の説明が、

 

「う~ん、まぁ何にも考えず、力とかスピードとか全く考えないで、ポンと突くねん。そしたら、相手の腹の中で爆弾がボカーンと破裂したみたいになって、火花が散るというか、威力が四方八方にバーンと広がるんや。」

 

こんな説明で分かる訳がないヨ。その後、ずっと不思議で未だに分からない。似たような突きは一般の他の古武術動画で観たことがあるが、そういう物でもない。全く異質なものだ。今日の電話で久しぶりにまたこの突きのことを聞いてみた。

 

「この間はエライ褒めてくれてオオキニ(先日の私の久しぶりにアップした動きの動画)。ほんでまた聞きたいねんけど、あのドンと腹に来る突きあるやんな? あれだけがどない考えても分からんねん。どないやったら出来るん?」

 

「ああ、あれ? う~ん、何にも考えたらアカンな。もうアカンアカンもう堪忍してー、みたいな感じから、何の気無しに、ポコンと手を出すような。とにかく、力とかスピードとか、やってもーたるねん、とか何にも無しやな。ほんまの無欲みたいな感じ。なんか理屈というより、精神的なもんかもしれんな。あるときちょこっと分かって、これもっとこないしたらどうかな、こんな感じに持っていったらどうかな、ってやってる内に、まぁ出来るようになったというか・・・」

 

相変わらずさっぱり分からない。ほんまかいなそうかいな、としか言えまへんわ、ホンマニ。

 

でも、いずれ、この突きを私の中でも再現してみたいと思っている。そう言えば思い出した。若い頃、20代と30代で一回ずつ? いや合計で3回か4回、組手稽古の中で、今回の話題の突きと同様の感覚の蹴りをキメタことがある。それも本当に何の気無しにポコンと出した蹴りだった。いや、蹴ってやるぞ、キメてやるぞ、という意志もハリキリも無い蹴りだった。なんか、相手ハン、がんばってはるやんけ、う~んと、とりあえず、蹴りをだしとこか、というようなノンビリした感覚でポコっと足を上げただけ。それが、相手の水月にボコっと入り、中で爆発したような感じになったようなならなかったような。ともかくその一蹴りで相手は悶絶し、うずくまって動けなくなった。その流れと今の話題の突きとセンスは似ている。これを参考にするのも良いかも知れない。

 

マニアックな話だが、分かる人には分かるだろう。分からない人には全然分からない。まぁそれでいいか。たまにはこういう話も面白いかも。いや面白くない人の方が断然多いかな、ヤッパシ。ま、いいか。