平山栄一記録簿  想哲理越憂愁     

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ゾーンに入った初めての体験 その他 

ゾーンに入る、という表現が最近よく使われます。皆が皆知っている訳ではありませんが、スポーツ関係、武術関係、それに芸術関係の方々で、割合よく使われると思います。

 

ここで使われるゾーンは、ある一定の境地を指すと思われます。無我の境地、無敵と思える状態、何かしら極めきったという感覚、そういった状況を指していると解釈できます。一般的に曖昧な形で使われているように感じます。

 

例えば、もう引退しましたが、イチローが絶好調のとき、解説者が言います。

 

「イチロー選手は完全にゾーンに入ってますね。もはや、打てないということがあり得ないような状況になってます。」

 

というような感じでしょうか。

 

プロだけでなく、個人のレベルにおいても、ゾーン感覚はありえます。

 

私が初めて、これはゾーンに入ってたのだな、と思える体験は中学校2年生のときにありました。これは本当に不思議な体験でした。

 

ふつうに体育の時間にそれは起きました。持久走が課題でした。かなりいいかげんなプログラムで、適当に走れと。とりあえず、何人か(5人くらいだったでしょうか)で組を作り、運動場を走って回れと。別に何周回る、とかの指示はなく、ともかく走れと。疲れたら終わり、と。

 

で、走り出したのですが、なぜか、その時の私は、全くの自然体、欲も得もなく、ただただ走ることに集中できてました。実は、走ることは短距離でも長距離でも苦手で、どちらでもほぼかなり負け続けてるという状態でした。特に、そのときに混ざっていた同級生の中で、めちゃくちゃ強い生徒がいました。

 

彼には絶対勝てないのです。A君としましょう。A君とは何度一緒に走っても、あっという間に先の先まで行かれてしまいます。勝てるはずがない・・・はずですが、そのときの私は、本当に何故か負ける気がしませんでした。全く疲れないのです。足も手も、ふつうにむりなくすいすい出ます。呼吸は全く乱れません。う〜ん、今日は多分誰にも抜かれないだろうな、と勝手に思い込むことができました。

 

きっかけもヒントも何もありません。とにかくそう感じてしまう、そして身体が軽くて、全然何にも負担にならない、無理なく身体がスイスイ前に出てしまう、そういう状況でした。A君は、短距離も長距離も学年でトップクラスのランナーです。彼がスパートすると誰も追いつけません。

 

ところが、このときの私は全然違ってました。A君が何度スパートしても、私の方がすいすいとスピードを合わせ、ほんのちょっと先を行ってすいすい走ると、A君はスルスルと下がってしまうのです。何度やっても同じ。私はがんばるのでなく、ただただA君のスパートに合わせてハシリを同調させ、ほんの少し彼の前を行くだけ。何度やっても同じ事が起きました。

 

しまいに、A君は息切れしたようで、私を追い抜くことを諦めました。持久走が終わった後で、A君は言いました。

 

「何で今日はそんな早いねん。全然追い抜かれへん。おかしいな。こんなん初めてや。」

 

「うん、ボクも分かれへんねん。なんでか知らんけど、今日は絶好調みたい。全然抜かれる気がせーへんねん。なんでやろ?」

 

「なんでやろ、って言われてもなぁ・・・」

 

会話の内容は殆ど忘れましたが、大体こんな感じのやりとりだったような。

 

本当に、原因不明でのスーパーゾーン突然発生と言うしかない状況だったように思います。なぜこんなことが起きたのか全く分かりません。持久力はあまり無かった私。突然何の理由もなく持久力が発生する、なんて想像できませんし。今でもナゾです。

 

その後、体育系のクラブでバレーボールとかサッカーとかしましたが、持久力は並だったような。ただ、サッカーは一時期、夢中になり、ボールをおっかけて走っている間は、全然疲れなかったという記憶があります。これも不思議でした。

 

これが私の人生初のゾーン体験です。

 

その後、武術の中で、ミニゾーン体験はあります。そのときは、持久力というより、凌駕力という感じ。どうしても敵わなかった体重100キロと110キロの強敵と、推手でなぜか簡単に対応でき、向こうがむちゃあせったという体験です。

 

この二人とは何度手を合わせても、力で圧倒されるという状態が続いてました。いつも押しつぶされてしまうといった状況。ある達人の友人からアドバイスを受け、欺されたと思ってスワイショウと正座合掌を30分ずつ、合計一時間、半年でもやってみたらいいよ、と言われました。ずいぶん渋ってたのですが、この達人、どう考えてもそれしかやってないようだったので、(この達人バケモノみたいに強かった)もう欺されたと思ってやってみました。

 

きっちり半年、毎日毎日、とにかく30分スワイショウ、30分正座合掌をやりきりました。その後、久しぶりに稽古会に顔を出し、推手で手を合わせることに。こっそりと、この二人に当たったときには、様々に検証し、ひそかに凌駕できるかどうか、試してみることに。様々な瞬間に、相手に打撃を入れられるポイントの確認をしました。

 

あれ? アナだらけだな、ここでもいける、あ、ここでもいける。逆に相手の攻撃、全然かわせる、全く脅威じゃない、丸でスローモーション。こっちの攻撃はいつでも入れられる、ナンダこれ? という感覚に。

 

110キロの巨人さんも、だんだんとへっぴり腰になり、完全に戦意喪失。防御一辺倒になってました。終わった後、私に対して、○○さん、めっちゃ怖かったすよー、と冗談でない口調で言ってました。

 

実は、半年ちょっと前、推手で乱暴に顔をはたかれ、前歯が折れたことがあります。本人もその自覚はあったようで、「あ、ごめん、強すぎた?」とか言って「アヤマッテ」ました。私は、まぁ意地で「あ、大丈夫ですよ。」と言いましたが、後でしっかり前歯が根元で折れていたことが分かり、結局、前歯は3本がブリッジになりました。むろんそんなこと彼には言いませんでしたが。まぁ私にも意地があるので。

 

久しぶりの推手で、ヒットさせることはしませんでしたが、いつでもどこでもヒットできるという感覚をこちらで検証した結果、彼も、いつやられるか分からないという恐怖があったようです。自分でやったことは結構覚えているもので、へたしたら「仕返しされるかも」なんて思ったのかも。そんな気性は私にはないのですが。ただ、検証した上で、いつでもいける打てる、ということが分かって収穫はありました。

 

きっとこのとき、私はゾーンに入ってたのでしょう。

 

武術の道は途方もなく長く難しく、いつもいつもそううまくいく訳ではありません。でも、日々の工夫と稽古、気づきと錬磨、正しい道を切磋琢磨すれば、必ずゾーンに入れる方法は見つかる、そう確信しています。

 

中学2年のときの初ゾーン体験以来、そう度々体験はしていませんが、武術においてだけでなく、様々な局面で、様々な種類のゾーンを形作っていくことを考えています。

 

例えば、新型コロナウィルスワクチンを何とか子供たちに接種させないためにはどうしたらいいか、様々な場所で様々な人に説明と説得を試み、伝わるという形。これが新たなるゾーンとして形成されていってほしい、そう考えています。最近、この件に関するリサーチと理解において、かなりのレベルで整理が出来ているので、それを元に、相手方を圧倒する、説明力において相手の理解を自然に獲得する、そうした局面でのゾーンを形成できつつある、そう自覚しています。そういった体験も増えてきました。

 

この件は本当にもっと研ぎ澄ませ、多くの人に伝えられるように、そして子供たちの命と未来を助けられるように、ゾーン形成を磨いていきたいと考えています。

 

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