朝鮮人慰安婦と日本人 元下関労報動員部長の手記 「あとがき」を記録
もう殆どの人は、吉田清治、という名前をご存知ないと思います。ウィキペディアで見れば分かりますが、2000年10月30日に87才で亡くなっています。少し一般的な知識のある人なら、朝鮮人強制連行、従軍慰安婦強制連行をした、ということで証言した著書があるが、詐欺だった、とされています。日本政府、一般メディアからとんでもないバッシングをされてきました。今では、日本においては、全く評価されない人物とされています。特に死亡後、ひどい扱いとなりました。
逆に、韓国では、日本で唯一、真実を暴露し、誠意ある謝罪をした人物として高く評価されています。アメリカにおいても、吉田清治の証言を取り上げました。クマラスワミ報告書と言われるアメリカでの、従軍慰安婦に関する人権侵害問題についての報告書でも、吉田清治の証言は取り上げられています。日本政府は却下するように求めましたが、アメリカはそれを断りました。証言価値を認めていたからです。
私個人は、さまざまに、日本側の言い分と韓国側の言い分、そしてアメリカのスタンスなどを見たり読んだりしてきましたが、日本側の言い分に正当性を感じることはありませんでした。むしろ、吉田清治に対する誹謗中傷があまりにひどいのを見て、必要以上の侮辱が顕れることに落胆しました。
この件については、今田真人の著作が参考になると思い、今その本を図書館に頼んでいます。今はまだ読めてません。
ただ、吉田清治の著作2点は読みました。いずれも図書館で借りることができました。今ではこの著作2点はいわゆる稀覯本(きこうぼん 滅多に見られない本)となっており、非常に高額なので買えません。図書館では大体どこでも借りることができます。
朝鮮人慰安婦と日本人―元下関労報動員部長の手記 1977年
私の戦争犯罪 1983年
この2点です。
なかなか多くの人に読んでもらえるものではないので、まず、ひとつめの「朝鮮人慰安婦と日本人」の中で末尾に書かれているあとがきの部分を書き起こししました。是非この文章だけでもお読みになることをお奨めします。そしてできれば、著作全部をご覧になることをお奨めします。ただし、読み終えるのに大変な努力と困難を体験されると思います。というのは、吉田清治は、あえてその時の感覚を交えた形で文を繋いだと思われるからです。非道なことをしたという戒めのために、自らひどい所業を犯した罪業を表現しつつ、読者に受け止めてほしい、そしてその悪魔性を見極め、今後起きてはいけないことだと理解してほしい、そのような意図であったかと思われます。以下がその「あとがき」の書き起こしです。尚、2作目についても、書き起こしを準備していますが、後に記します。2作目の付録文の内容が貴重な証言ですが、長くなるので次回に回します。
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朝鮮人慰安婦と日本人
元下関労報動員部長の手記
吉田清治
あとがき
朝鮮民族に、私の非人間的な心と行為を恥じて、謹んで謝罪いたします。
吉 田 清 治
私はこの文を30年前に書くべきだった。戦前、朝鮮民族に対して犯した人間としての罪を、私は卑怯にも30年間隠蔽して語ろうとしなかった。
その結果、第二次大戦で外国人(朝鮮人・台湾人・中国人・モンゴル人・ベトナム人・ラオス人・カンボジア人・タイ人・ビルマ人・フィリピン人・マレーシア人・インドネシア人・インド人・オーストラリア人・イギリス人・オランダ人・フランス人・アメリカ人・ロシア人等)を一千万も殺した戦前の私たちと同じように、現在の日本人も排他的な国益の概念を愛国心だと妄信して、人類共存の理念に反する諸法令をつくり、弱肉強食の獣性に堕ちている。
現在もなお日本人は、在日外国人の大多数を占める朝鮮民族と台湾民族に対して、特に疎外感をもち、諸法令をつくって排斥し、侮蔑の心で差別して、難民生活を強いてかえりみない。日本人は現在も、民族として徳性に欠け、人間性を見失っている。私はそれを放置してきた。
国家と国民のため命を捧げた幾百万の英霊に対して、戦争で生き残った私は、過去30年間の痴呆的な無為を恥じる。
アメリカは建国のはじめから黒人を奴隷にしていて、現在も人種差別が残っているが、そのアメリカでさえ、在米日本民族の二世や三世たちは、上下両院の議員・州知事・州議会議員となることができ、陸海空軍の将校・警察官幹部等に採用されている。また主要産業の重役や幹部社員に登用され、それらの大企業の日本支社長や駐在員代表として多くの日系米人が東京へ来ている。しかし日本では、衆参両院議員・県知事・県議会議員・市町村長・市町村会議員・国家公務員・自衛隊員・警察官等に、また公社・公団大企業の重役や幹部に、在日朝鮮民族や在日台湾民族の二世や三世の人たちはいない。韓国進出の日本の大企業のソウル支店長に、在日韓国人の二世や三世がいない。
在日朝鮮民族は民団系と総連系を問わず、すべての人が教育・就職・福祉・居住・結婚・交際などの面で、日本人から差別され排斥されている。日本人の母親は、息子や娘が在日朝鮮民族と結婚することを拒否し、父親は借家やアパートを在日朝鮮民族には貸そうとしない。日本の子供たちは朝鮮高等学校などの生徒を、登下校の駅や路上で襲撃して傷害を加え、日本人としての自負心をたしかめている。日本人の少年少女たちは、このまま成人すれば、文明人としての徳性を一生もつことができないだろう。
戦前の私たち日本人が、外国人特に朝鮮民族に対して、非人間的な迫害を加えるようになっていたのは、明治維新からの先祖の思想を受け継いだためのようである。
私たちの先祖は明治維新にさいして、イギリスの政治・経済・教育などの文化を学んだが、イギリスは江戸時代から世界一の大植民地を持っていた。アジアではインドや中国を侵略し、日本へも侵略を策していた。イギリス人は自国においても、宗教上の他宗派だといって同胞をアメリカへ追放したりしたが、現在でもアイルランド人を差別しているように、独善的な民族である。私たちの先祖はイギリス人から文化を学ぶとき、イギリス人のこんな悪徳もいっしょに習い覚えてしまったようだ。日清・日露戦争はイギリス人に教唆されたのではないかとさえ、私は明治の歴史を疑ったりすることがある。日本人の千年の文明を育てた仏教には、元来侵略性や残忍性はなかったはずだ。
在日外国人を尊敬しないで、日本人が外国で尊敬されるはずがない。在日朝鮮民族への排斥思想を矯正するように、日本人の青少年に対して正しい人間教育を、各界の識者にお願いする。
戦前戦後を通じて、私は民族的悪徳をもって一生を送ってきたが、老境にいたって人類共存を願うようになり、人間のすべての「差別」に反対するようになった。
日本人の青少年よ、願わくは、私のように老後になって、民族的慚愧の涙にむせぶなかれ。